日本で受けることのできる韓国語・朝鮮語の試験のうち、よく知られているのは『ハングル能力検定試験』と『韓国語能力試験(TOPIK)』の2つですが、どういう違いがあるのかいまいちわからないという事もあるかと思います。
今日はハングル能力検定試験と韓国語能力試験(TOPIK)の2つがどのような特徴を持っているかをまとめました。
両試験の概要
ハングル能力 検定試験 |
韓国語能力試験 (TOPIK) |
|
主催者 | ハングル能力 検定協会 |
大韓民国教育省 国立国際教育院 |
開始 | 1993年 | 1997年 |
試験規模 | 日本国内のみ | 世界70か国以上 |
年間 試験回数 |
年2回 (6・11月) |
年3回 (4・7・10月) 韓国国内では年6回実施 |
級の見方 | 1級(最上級) 2級、準2級、3級 4級、5級(初級) |
6級(最上級) 5級、4級、3級 2級、1級(初級) |
試験方法 | 各級毎の試験 (隣接級は併願可能) |
TOPIKⅠ (1・2級) TOPIKⅡ I・Ⅱの併願可能 |
回答形式 | マークシート方式 ※1級は日本語訳と韓国語訳の筆記問題有 |
TOPIKⅠ マークシート方式 TOPIKⅡ |
問題文 | 日本語 (2級からは韓国語) |
全て韓国語 |
合格基準 | 【5~3級】 100点満点中60点以上 【準2級~1級】 聞取・筆記それぞれで必須得点制限あり。 1級試験合格者は別日に面接試験を行う。 |
【TOPIKⅠ】 200点満点中 ・80点以上で1級 ・140点以上で2級 【TOPIKⅡ】 |
注意点 | 韓国・朝鮮語の試験のため、南北の言葉の違いへの理解も必要。上級では北朝鮮の文献から引用した文章を読み解く問題も出題される。記述は南北の表記をどちらかで統一する必要がある。 | TOPIKⅡのではかなりボリュームのある文章作成問題が出題される。普段から考えを簡潔にまとめたり、韓国語での論文の書き方を身に着ける必要がある。 |
級別に試験が行われるハングル能力検定試験に対して、TOPIKは初級のTOPIKⅠ、中・上級のTOPIKⅡの2つの問題構成で獲得した得点によって級が振り分けられるようになっています。
また、ハングル能力検定試験の1級では翻訳問題、TOPIKⅡでは作文問題が出題されています。
どんな問題が出題されるのか?
ほんのさわりだけですが、両試験にでる例題を1問ずつ用意しました。
ハングル能力検定試験
고등학생
①[고틍핟생] ②[고등핫쌩]
③[고틍핫생] ④[고등학쌩]
出題傾向を知るのに一番手っ取り早いのは過去問の取り寄せです。
ハングル検定では年に一度、3月にハングル能力検定協会から出版される過去問集があります。
過去2回分の試験問題が収録されていて、聞き取りのCDも入っているので、これを過去数年分を解いておくと出題傾向がわかってくると思います。
ハングル能力検定試験では、2018年の春季から問題数や試験時間の出題形式が変更になりました。 出題内容に大きな変更はありませんが、本番対策の模試として使うのであれば最新版を購入すると良いと思います。
韓国語能力試験
갑자기 비가 와서 일기예보를( ) TV를 켰다
①보는데 ②보나마나
③봤더니 ④보려고
TOPIKはいくつかの回については過去問の無料ダウンロードも可能なので、プリントアウトしてそれを解くのもいいと思います。
韓国語能力試験(TOPIK)公式ウェブサイト・過去問のページ
(韓国語のページに飛びます)
韓国では過去問のことを기출문제(既出問題)といいます。
ただ、解説なども読み込みながら学習を進めたいという方は、下記の参考書が便利だと思います。 過去問ではないものの、出題傾向から独自作成した4回分の模試が収録してあり、問題だけでなく解説やポイントもまとまっています。
ススメカンコクゴサイト内でもオリジナル例題や級別の学習のポイントを公開中です。
試験の難易度は?
個人的な雑感になってしまいますが、両方の試験の難易度や感じた事をまとめています。
ハングル能力検定試験
初級のハードルは低く非常に優しいものの、上級のハードルの高さたるや数多の結構いい線いってる学習者を諦めさせるほどの難易度を誇る。語彙の鬼。対策本をやりこまないと、ぱっと見で何を意味するかわからない表現がたくさん出てきて面食らう。その中にはあまり現代には使われない若干古めかしい表現もあるよう。
また、上級では南北の言葉の違いについても把握していなければならない。しかしやればやるだけ知識は広がるので、そこは勉強と割り切りやり切る心構えが必要。難易度的に、TOPIK6級に受かったとしても、そのままハングル能力検定試験1級に受かるかといわれたら難しいと思う。ハングル検定向けの対策をして臨む必要がある。
出題範囲はほぼこのトウミからで、トウミ以外からの表現は5%ほどしか出題されないので、まずはひたすらにトウミをやりこんで語彙力をつける。分厚くて結構つらいけれど…
韓国語能力試験(TOPIK)
ハングル能力検定同様に語彙力はもちろん必要ではあるが、そこまでひねった問題はなく素直に解けるような印象。現代的な題材を扱うことも多く、図やグラフなどを使った問題もあり、比較的解きやすく新鮮味があるように思う。
ただ、問題量としては듣기・쓰기・읽기合わせて100問ほどで、一つ一つの問題のボリュームはやや多め。읽기では文章を素早く読み解く力が必要になってくるのと、難関はやはり쓰기の文章作成だと思う。与えられた課題に対して自身の考えを韓国語で文章に起こすというのはなかなか日頃の訓練なしには難しい。
コツコツと韓国語の文章を書く練習などをしておいたり、何かの問題に対して、日本語でよいので自分の考えをまとめるという練習をしておくとスムーズに回答できるようになると思います。
同じ韓国語の試験といえどもこの2つの試験にはそれぞれ特色があり、相応の対策が必要になります。ただ両方とも勉強にはうってつけなので、ぜひ両方の試験にトライしてみて下さい。
ハングル能力検定協会ホームページ
韓国語能力試験(TOPIK)ホームページ
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